2019年1⽉16⽇(水)から、ガールズ演劇カンパニー・アリスインプロジェクトの舞台『悪魔inデッドリースクール』の上演がスタートした。初日公演を前に関係者およびメディア向けのゲネプロが行われた。
アリスインプロジェクトの2019年1月公演は「劇団☆ディアステージ」とのコラボが決定!劇団の演目『殺し屋と悪魔』、『コロちゃんと悪魔』とアリスインプロジェクトの代表作『アリスインデッドリースクール』がクロスオーバー、脚本 麻草郁氏&演出 松多壱岱氏による新たなオリジナル作品『悪魔inデッドリースクール』が誕生した。『アリスインデッドリースクール』を映画化し撮影しようと奮闘する少女達に悪魔と天使が入り乱れての笑いと涙の青春狂想曲となっている。
主演・牧川アカネ 役の長谷川里桃
長谷川里桃は、実写版『黒崎くんの言いなりになんてならない』や映画『チア☆ダン』、舞台『美少女戦士セーラームーン』でセーラーヴィーナスを演じるなど、演技経験も豊富。今回は、映画研究会部長の牧川アカネを演じる。劇中、監督としてデッドリースクール映画制作の指揮を取る役柄となっている。
このゲネプロ自体、長谷川が劇場に入って初めて通しで演じる場となったものの、熱の入った芝居で観るものを引き込んでいった。「照明が入って、音が入って、揃って劇場で演じると、『悪魔 in デッドリースクール』、『アリスインデッドリースクール』の世界を想像することが出来て、稽古場では出なかった涙がボロボロとこぼれて、感情移入が出来ました」と語っていた。またこの作品は「コメディの要素が強いんですけど、それだけでなく(登場人物)それぞれに悩みを持っていて、それをどう超えていくのかというところがドラマチックで、引き込めていけたらと思っています」と、この舞台の見どころを話していた。
実際、観ている側もアカネの映画にかける意志や、仲間を慮る気持ちなど、いろいろな感情に巻き込まれてウルっとくる場面がいくつもあった。それに長谷川の良い意味での湿度が感じられる演技がしっくりと来ていたように感じる。
石幡サキ役の舞川みやこ。
石幡サキ役の舞川みやこは、アリスインプロジェクトをはじめ、数多くの舞台に出演しているので、あえて説明は必要ないかもしれない。「デッドリースクール」に関連するものとしては、2017年10月上演の『アリスインデッドリースクール・ノクターン』での紅島弓矢役、2018年8月の『最果ての星~アリスインデッドリースクール外伝~』での吉川美知子 役(ゲスト出演)での舞台出演、映画版『アリスインデッドリースクール・アジタート』でも紅島弓矢を演じている。
そして、今回も劇中で「紅島」を演じる石幡サキという女の子の役。デッドリーシリーズを観劇したことがある方ならお分かりかと思うが、この紅島という役は、どの「デッドリー」でも注目される、ある意味で一番エモーショナルな役柄なので、今回も「紅島を演じる石幡サキ」が気になるところだった。
舞川は、この役を「不器用で私にそっくり」と言うが、役者としては器用に演じ分け出来る才能の持ち主で、昨年上演された舞台『君死ニタマフ事ナカレ零_改』の自衛官、赤住役の印象が鮮明に残っている筆者としては、今回の「心の傷を抱えた不良少女」という真逆の役柄も自然にこなす舞川の技量に感心するばかりだった。
舞川は「外は寒いのですが、キャスト全員、汗をかきながら全力でやっているので、お客さんにもその熱が伝わるといいなと。それでお客さんも一緒にハッピーになって、最後に笑ってもらえたらなと思っています。」と話していた。
染谷アズミ役の片平美那。
染谷アズミ役の片平美那は、アニメ映画 『きみの声をとどけたい』など、声優としての印象が強かったが、今回初舞台とは思えないほど、しっかりとした演技を見せていた。実際、このアズミという役は、「思念の中」と「実体」とのある意味二役を演じることとなるので、難しい役柄といえる。それを難なくクリアしているあたり、役者としての才能なのか、あるいはアズミと同じく相当な努力家であるのか、どちらともなのか。いずれにせよ、今後も声優としてだけでなく、舞台上で観てみたいと思わせる逸材だった。
ゲネプロ終了後の質疑応答では、「この『悪魔in デッドリースクール』は、キャラクターも一人一人個性が強いんですけど、キャストのみんなも、すごく個性が強いので、その個性が良い感じでキャラクターに活きているので、そこも見どころだと思います」と話していた。
悪魔役 /雛形羽衣(中央)
役名が「悪魔」。人間の魂を頂戴しに来る悪者なのだが、どこか憎めない。というより面白い。劇団ディアステージでの活躍も広く知られているので、あえて説明する必要もないのかも知れないが、コメディエンヌとして見ても、アドリブの上手さ、動きの大きさなど非の打ち所がないと感じる。実際、初日に観劇した方の感想をSNSで拾ってみると、雛形の演じる悪魔の印象が強く残っているようだ。もちろん、このキャラクターは素の雛形の印象とは違っていて、ステージでの爆発力という点で素晴らしい資質を持っている。
雛形は、「劇団☆ディアステージのコメディ要素と生歌、ダンスが見どころでもあり、アリスインプロジェクトのファンの皆様にも満足して頂けるよう、一丸となって、集中して臨んでいきますので、応援のほどよろしくお願いいたします。」と話していた。
木村花役 着崎花梨(右)、笹原灯里役 富岡志織(左)
着崎と富岡は、ともにWhiteLace ZOKUというアイドルグループに所属している。今回、同じ舞台での共演となった。着崎演じる木村花(ブリトニー)は、自分大好きなブリっ子という役柄で、普段アイドル活動をしている着崎としては、しっくりくるのかと思いきや、そうではないようだ。着崎は講談社主宰のコンテスト「ミスiD2019」のファイナリストでもあるのだが、その期間中、写真共有アプリ「Cheerz」などに変顔を載せ、審査員であるシンガーソングライターの大森請子らに大ウケしていた。また漢字の読み間違いが多く「中南米」を「ちゅうなんまい」というお米だと思っていたなど、「おバカ」キャラが定着しているそう。ただ、今回の芝居を見るかぎり、単なる「おばか」では務まらない役であったし、ともすれば、嫌みな役になりがちなブリっ子を、そう感じさせない絶妙なバランスで演じていたように思う。ブリトニーは、劇中の映画「デッドリースクール」で百村信子(ノブ)を担当するのだが、いつかアリスインプロジェクトの舞台で、着崎演じるノブを見てみたい。
「アリスインプロジェクト」は今年10周年を迎える。その中で、劇団☆ディアステージとのコラボレーションを展開し、新たな要素を取り込んでいくという試みもまた新鮮。キャストのコメントにもあったように、寒くて凍えるほどの季節に熱くなるような、乾いた北風に吹かれても瞳はウルっとするような、笑えて泣ける舞台。それが『悪魔 in デッドリースクール』。既にチケットが完売している日もありつつも、当日券を狙って劇場に足を運んでみてほしい。
(写真・文: 矢口 明)
アリスインプロジェクト2019年1⽉公演 『悪魔inデッドリースクール』公演概要
キャスト
長谷川里桃
舞川みやこ
片平美那
雛形羽衣
着崎花梨
寺田真珠
高岡未來
佐伯香織
東城希明
弘島友加里
甘莉花奈子
増田悠那
富岡志織
折笠衣緒
蒼小比奈
西谷有機
岸田麻佑(特別出演)
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ものがたり
文化祭での上映に向けて、ひとりぼっちの映画研究会、牧川アカネは学校のはぐれものたちを集めて映画の撮影中。作品は舞台で、10年も演じられている名作『アリスインデッドリースクール』。
不良のサキは、幼馴染のカスミとの想いを抱えたまま撮影に挑む。
だが、トラブル続きで中断する撮影、原因はなんと悪魔と天使の戦い!
果たして映画は完成するのか?
サキとカスミの運命は?
アカネの魂をめぐり、事態は二転三転、予想もつかない方向へと転がっていく!
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チケット&スケジュール
日程:
2019年1月16日(水)~ 1月20日(日)※全9公演
1月
16日・水=19:00
17日・木=14:00・19:00
18日・金=14:00・19:00
19日・土=13:00・18:00
20日・日=12:00・17:00
※ロビー開場・物販開始は60分前。客席開場は30分前
劇場:
池袋:コフレリオ新宿シアター(120席)
東京都新宿区歌舞伎町2丁目15−3 新宿KSビル1F
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スタッフ
原案:佐藤拓
原作・脚本:麻草郁(アリスインプロジェクト)
演出:松多壱岱
演奏者:中村純一
企画:鈴木正博
エグゼクティブプロデューサ:岩崎拓矢
プロデューサー:青柳一夫・美濃部慶・西初恵
制作:アリスインプロジェクト・DEARSTAGE/製作:アリスイン株式会社
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フォトギャラリー
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